横濱元町の裏路地に在するは、一軒の白亜の洋館。
1階は、心地良いプチホテルのラウンジを思わせる、レストラン&バー。
2階は、襖の横浜絵やオリエンタルな家具調度を飾った、お座敷の個室。
3階は、東洋と西洋を結ぶ、シルクロードをイメージしたバンケットルーム。
大佛次郎の小説「霧笛」の舞台となった元町百段坂のふもとに立地することから、店名を「霧笛楼(むてきろう)」と命名。
外観は、仏蘭西料亭の名にふさわしい洋館の佇まい、開港後に賑わった港崎町遊郭の料亭「岩亀楼(がんきろう)」をイメージし、内装や調度品・器に至るまで、異国情緒あふれる古き良き横浜の世界観を再現するべく、こだわりの空間創りを追求いたしました。
横浜が作り上げてきた文化-西洋と日本のおもてなしの精神をブレンドした「和魂洋才」をメインコンセプトとし、1981年、横濱元町に「仏蘭西料亭 霧笛楼」を開店いたしました。
和魂洋才~日本の心でいただく仏蘭西料理~
開店当時の元町は、ハマトラを代表するファッションの町として広く知られていました。近隣には食の宝庫である中華街があり、『元町で飲食店は成功しない』というジンクスがささやかれていた頃―。
当時、人々の間で親しまれていたのは格式高いオートキュイジーヌ。“和魂洋才”をコンセプトとしたオリジナルの「横濱フレンチ」を追求し続けることは、たやすいことではありませんでした。
それでも私たちが目指したのは、優雅でエレガントな西洋の雰囲気を感じていただきながら、気取らずに、日本の心でいただけるフランス料理や空間を提供すること、成熟した食文化のある風景をお客様と共に創っていくことでした。
温故知新~伝統に学び生み出す力に~
伝統的なフランス料理でも日本料理でもない、答えのない未知のチャレンジであったが故、「日本の心でいただくフランス料理」にたどり着くまでには、数えきれない挑戦と失敗がありました。
本場フレンチの技法に学び、素晴らしい和の出汁文化や先人の教えに真摯に向き合う。
日本ならではの季節感を大切に、より現代にマッチした、軽やかで優しい味のハーモニー。すべてが口の中で渾然一体となる一皿を目指しています。
地産地消~横濱の食材にこだわる~
食材を生かすメニュー作りを探究する中、たどり着いた原点は「新鮮である」ということ。
とりわけ野菜は、収穫から調理までのタイムラグをなくし、地元の畑で採れる新鮮な食材を多く使用しています。
メニュー替えの季節には、横浜野菜を育てる生産者を訪ね、その年の出来栄えや美味しい食べ方をうかがって、調理のヒントを探ります。
野菜からインスピレーションを感じてメニュー構成が決まることも多く、畑で味わった感動をお料理に反映させるよう心がけています。
地産地消~横濱ブランドにこだわる~
プレゼンテーションに欠かせないテーブルウェアにも、地産地消の考え方を取り入れ、横浜ブランドの食器を多く使用しています。
「霧笛楼は皿が絵画」とおっしゃっていただくこともあるほど、個性を持った絵皿や特徴的なヨコハマブルーの色合いが、お料理をひときわ華やかに演出します。
シンプルな食器にデコレーションするスタイルを選ばず、絵皿を使う選択をしたこと。
お皿の上の小さな世界観からも『横濱』を感じていただきたいという料理人の想いを乗せて、横濱フレンチは完成いたします。
~ 横濱の歴史と共に歩む町のレストランであるために ~
「cuisine 料理の美味しさ」「cardre しつらえの美しさ」「ambience 空間の心地よさ」
この3つの「頂点」を目指して―。
料理人は調理場で真心のこもった料理を頂に、給仕人はホールでホスピタリティあふれるサービスを頂に、 ご来店いただく皆様に「大切な人生の一幕の舞台」として当店をご利用頂けることを願ってやみません。